防災訓練「長時間覚醒・起床訓練」の内容と実施方法
この長時間覚醒・起床訓練は、長時間眠れない、眠りたくても寝れない時が続いた時に起こる症状、不眠状態後に起こる症状を把握し、各自の防災バッグに追加する用品を選別する訓練でもあります。この訓練中は無理な運動や仕事は禁止し、きつくなったら即布団に潜れるように備えてください。自身の弱点と対策、健康維持できる限界を知るのが目的です。
防災訓練「長時間覚醒・起床訓練」の内容
長時間覚醒訓練は、簡単に言えば、どれだけ長い間寝ないで過ごすかを訓練するもので
- 睡眠不足に伴う体調不良を把握する
- 睡眠不足で陥る精神状態のクセを知る
- 自身の寝ない時間の限界を知る
- どうしても眠れない時に備える
など、とにかく寝てはいけない訓練ではなく、長時間眠れない時に起こる体調と精神の変化を事前に知っておくことが主な目的です。たくさん寝ないから偉い、のではなく、発災時のストレスやどうしようもない状況で眠れない時に自身に起こる不調の傾向を把握するのが目的です。
実施方法
長時間覚醒訓練は、まず、準備からスタートします。
- 急に気絶&睡眠しても大丈夫な環境の用意
- 訓練後の十分な回復期間の確保
この長時間寝ない訓練は、突発的な睡魔に襲われ転倒したり、気絶したりする恐れがあるため、車の運転や外出は厳禁です。せめて自室で行ってください。また、訓練終了後には起床時間を気にせずにぐっすり眠れる環境を用意しておき、その後の回復期間も十分すぎるほど確保してください。
【訓練事例1】
訓練時間:24時間
おそらく誰にでもできて、体調の変化も予測できる時間です。一般人は16時間は健康的に起床していられます。わずかに起床時間が伸びるのみでほとんど影響はないですが、覚醒訓練初期の体調の変化を学べるはずです。
【訓練事例2】
訓練時間:40時間
いわゆる午前6時に起床、そのまま1日過ごして徹夜、その後そのまま寝ずに1日過ごして寝るパターンです。これも多くの方が経験済みだと思いますので、体調の変化、体や精神のどこに異変が起きるか把握するのは簡単です。
【訓練事例3】
訓練時間:60時間
いわゆる2回徹夜を続けるものです。この付近から、死の足音が近づいてきます。実施する場合には、観察者を必ず1名はつけて、訓練の即時中止ができる状態で取り組んでください。また、訓練完遂後は、3日以上休息を設けてください。
注意点
他の訓練同様、きついと感じたら即訓練を中止してください。睡眠を我慢する行為は、著しく寿命を縮めます。既に持病がある方は絶対に実施しないでください。心臓が弱い方や精神を病みやすい方も実施禁止です。
当方の経験では80時間を超えたあたりから感覚がなくなり、いつでも倒れられる状態になります。気が抜けた瞬間の一瞬の睡魔で転倒して、起きたら知らない天井が見える可能性があります。訓練は必ず60時間未満までにしてください。
訓練中、以下のような
- 足が重い
- 身体が重い・だるい
- 吐き気がする
- 呼吸が苦しい
- 器用な作業ができない
- 視野が安定しない
- 心臓がバクバクする
などの症状を感じたら即訓練を中止して寝てください。訓練中は、食事をこまめに取り、食欲がなくても、十分に栄養補給を続け、覚醒状態の時に床に寝そべって足を壁に立て掛けるなどの健康コントロールをしないと長丁場の訓練は完遂できません。
発災時でもよほどの状態でない限り、眠れない事はありません。訓練後のよくある症状として
- 下痢
- 吐き気
- 肩こり・腰痛
- 頭痛
- ボーッとする
- 判断低下
- 行動緩慢
などが起こります。眠らないのは無理だという方は、せめて40時間までにし、自身の体調不良で起こりやすい症状を把握し、それに備えられるように防災グッズを追加してください。下痢が起こりやすい場合は、下痢でも耐えられる簡易トイレの用意が必須で、腰痛がひどくなる場合は、予備の腰コルセットを防災グッズに入れておいても良いでしょう。