迷惑ボランティアとは

ボランティアそのものは良いことですが、時にはその善意が迷惑になる場合があります。現地に赴いて作業をする場合は、完全自給自足、宿泊場所も自身で用意しましょう。被災者が食べるべき食材を食べてしまったり、被災して場所が少ないのに、泊まる場所を分けてもらったりするのは被災者が増えているのと一緒で迷惑です。また、被災地の人が求めていないものを物資輸送するのもやめましょう。




迷惑ボランティアとは

本人は善意で「やってあげている」つもりでも、周囲からするとただの邪魔になっているボランティア、及び、その行動を迷惑ボランティアといいます。災害ボランティアは「一切の対価を求めず、自給自足で現地に貢献する」べきもので、被災していて余裕のない現地に迷惑をかけてはいけません。

 

ただし、昨今の災害ボランティア事情においても、被災者とボランティアの気持ち、需要と供給のマッチングはうまくいかず、すれ違いが多いです。災害ボランティアは現地の情報がわからないけれど、何かお手伝いができる状態にあるが動けずにいて、現地は、現地で、何が必要か、何が足りないか把握すらできていない、という状況に陥りやすいです。

 

災害ボランティアの経験が長年ある人でも、迷惑ボランティアになってしまうことがあります。その被災地の人々が何を求めているのか、事前にヒアリングしつつ、連携してからボランティアをしないと、たいていは迷惑で終わってしまいます。

 

迷惑になる行為の事例

以下のような行為は、迷惑ボランティア認定される事が多いです。

  • ボランティアが衣食住を自給自足していない
  • 善意を押し付けている
  • 被災者の生活にズカズカ入り込んでいる
  • 備品の後片付けをしないで帰る
  • ボランティアで出た生活ゴミを捨てていく
  • いらない物資を宛先適当に送りつける
  • ボランティアが現地で怪我をして入院
  • 現地の団体に電話やメールを送る
  • ボランティア募集を待たずに押し寄せる
  • 相談やカウンセリング受診を強要する
  • 被災者の異性に恋をしてしまい迫る
  • ボランティア同士でイチャイチャする

など、配慮不足であった…で済む話と、そうでないものがあります。多少の配慮不足は仕方がないですが、ド素人のボランティアは、現地でも被災者の精神を気にしすぎたり、ボランティア同士でゲラゲラ笑って騒いでいたり、ボランティア作業後に酒盛りしていたり、何しに来てるんだ、とお叱りを受けるケースもあります。

 

性被害にも注意

特に発災時には、女性と子どもは、避難所で周囲に知らない人が多数いる状態で、災害ボランティアも多く来ているとなると安心できない事情があります。発災時には

  • 盗難
  • 盗撮
  • 強姦
  • 性暴力
  • セクハラ
  • パワハラ

などが実際に発生します。女性も子ども(男女ともに)も、それでなくてもシビアになっている時に、チャラチャラしている県外の知らない人は基本ありがたいとは思っても、やっぱり怖いものです。

 

いらない物資支援と押し付け

いらないお菓子や生の食材が送られてきてしまうのは、まだマシな方です。善意で生のフルーツや野菜を置いていかれても、すぐに保管できず、調理もできず、となれば腐敗してしまうので結局捨てるしかありません。

 

結果、ごみになるものをトラックで輸送するくらいならば、そこにα化米や缶詰を詰んでいったほうがマシです。トラックをまるごとシャワー設備にして詰んでいって、シャワーを浴びれるようにするとか、現地で明らかに不足しているであろう物資、施設を、現地の要望に合わせて持っていく、そして、終わり次第回収していくのが鉄則です。




迷惑ボランティアにならないために

迷惑ボランティアにならないようにするためには、現地からの情報を待つのが鉄則です。各都道府県や市町村から、災害救援ボランティアの受入要請が出てから、正式に応募して、十分な準備をして被災地に赴きましょう。

 

また、被災地に実家があるという方の場合で、男性一人、一時帰省して、実家と隣近所、その他周辺の片付けや掃除を手伝い、寝泊まりは実家で、というパターンは基本的に迷惑にはなりません。

 

さらに、重機を操作できる方は、スーパーカブや原付などで各地を走って周り、倒木や落石がないか、交通標識・看板の破損箇所の確認などを行って紙の地図にチェックを入れたものを市町村や都道府県の最適な課に提供する、というのも一つです。被災箇所のマッピングは、現地の人でも地味にキツイので、リサーチして写真付きで状況がわかり、あとは優先順位の高い所から順番に修繕、という形にできれば、大いに貢献できるはずです。(事故は厳禁|現地の土地勘がある人がやるのが理想)

 

助けたい気持ちを少し我慢して

支援したい、助けたい、助けられるという気持ちと状況は少し我慢して、現地からの情報発表を待ちましょう。初動は現地の専門の者と自衛隊がやっているので、ボランティアが出ていくタイミングは少し後です。

 

県外からでもサポートできるとしたら、被災して家を失ってしまって、一時的に宿が必要になった方を無償で一定期間受け入れるというような、官民(市町村や都道府県の支援とホテル・旅館の協力が必要)合同で行うようなものがあります。

 

例えば、山梨県で富士山が噴火して、避難しなければいけないけれど、しばらくはその場所で暮らせないため、北海道の旭川で住居を提供。家賃などは一定期間は行政が支援しつつ、帰れるようになったら帰る、それまで親子ともども面倒を見る、というようなやり方です。東日本大震災の時に、東北から避難してきた方を山梨などで受け入れて、生活環境や物資のサポートをしていた事例もあります。

 

現地に行かなくてもできるボランティア活動はありますが、双方の配慮と気遣い、適度な距離感、適度な不介入など、ほどよく支援できるよう心がけながら、災害ボランティアに励んで下さい。ただ、ボランティアも生活がありますので、自身の家族や暮らしを疎かにしてまで災害ボランティアに力を注ぎすぎないように。

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Posted by 防災士