山の水源の場所と探し方【サバイバル知識】
山で遭難したと仮定し、そこから山の中にいながら飲める水を見つける方法を、山の特性、性質などから紐解いてみます。なお、この知識があるからといって一切に水源を見つけられるとは限りません。事前に訪れる山の地形や登山道を把握して、十分な装備で軽登山・登山を楽しみましょう。
山と川の関係
まずは、実際の川の位置を上空から確認してみます。上記GoogleMapは山梨県山梨市の北にある山間部の様子です。基本的に、どの川も、山と山の間、谷になっているところを流れています。水は高いところから低い所に流れる性質があるので、当然と言えば当然です。
また、山梨が関わる水系は
- 富士川水系
- 相模川水系
- 多摩川水系
の3つあるとされ、さらに細かく分ければ、甲府盆地の南、富士五湖周辺、北杜市、山梨市、南部町方面と5つ、6つの水系に分かれます。
山がある所にはほぼ必ずと言ってよい?ほど、
- 地下水
- 川
- 湖
- 池
- 湧き水
があると考えて良いでしょう。ただし、たいていの山間部の淡水はそのまま飲んではいけません。
山で遭難するとしたら…
山梨県甲府盆地周辺で、山間部で遭難するとしたら
- 弥三郎岳
- 升形山
- 甘利岳
- 滝戸山
- 釈迦ケ岳
- 大蔵経寺山
- 興因寺山
- 大日影山
- 兜山
あたりが遭難の入り口となりますが、たいていは振り返れば盆地の街並みが見えるので、登山の中でも軽登山で済むもの(比較対象は冬の富士登山)でしょう。1km~3kmも盆地に向かって歩けば、人のいる場所に出られるので、迷子になることはないと思います。
※実際に遭難したら、来た道をそのまま登山道まで戻るか、山を下りずに、ちょっと高い尾根と言われる安全な所に登ることを意識して下さい。遠目に見た時のギザギザしてるような所の尖った所です。また、登山するときには、登る時に目印になる「特徴的な根っこ・岩・木に縛り付けられている黄色・橙色等のヒモ・立て看板」などを覚えておくか、スマホで撮影しておき、正しく戻れているか確認できるようにすると安全かもです。
この時、どの山を見てみても、できるだけ山頂に近い所に登って周りを見渡せば方角を把握できます。山頂付近で
- 登山道(木についた印も大事)
- 河川
- 遠くの街
- 鳥の種類と移動方向
などから、どう進めばよいかある程度判断できます。
例えば、山梨には野生の白サギのような鳥が結構な数いますが、日中はそれぞれ好きな河川、用水路などに行き、寝る時は甲府市遊亀公園の池、木の上などでまとまって休んでいることが多いです。つまり、白サギが夕方に飛んでいく方向は甲府市の方角だと考えられます。
また、すずめ、鳩なんかは人間のいる場所で暮らしていることが多いので、すずめの声、鳩の鳴き声が聞こえてきたら人里が近い可能性があります。
水源の場所を探す方法
登山中の遭難、研究などで、山の中で水源を見つけるには、大きな山の下流域にあるできるだけ多くの谷がぶつかっている場所を探すのが効率的です。上記マップの例を取ると、航空写真では以下のようになっていますが、複数の谷が重なる場所は何かしらの川がある可能性が高いです。
航空写真からでは見えないですが、山の中腹などから反対側の山が見える場合には、その谷に沿って下流の方向を確認し3つ以上の谷が交わる場所があれば水が流れている可能性が高いです。
飲める水かどうかは別にして、ゴツゴツした岩の間を流れる「沢」のような感じの流れくらいはあるはずです。写真のように、複数の山、複数の谷がある場所、3つ以上の谷の交点には可能性が高いです。
もちろん川そのものが存在しない場合もありますが、山の中腹、山頂から複数の谷が重なっている場所を見れば、川があるかどうか見当はつくはずです。この時点で川も何も、水の気配もしないようであれば、そこには水源はないです。
水は山の山頂から湧いているのではなく、高い所から低い所に、地下水脈などを巡って圧力がかかるなどして、低いところにある山の中腹や谷のできている辺りから水が湧き出ている感覚です。
地下水も同じようなもので、私たちからすると下から水が上がってくるのは不思議に思えるかもしれないですが、それよりも高い山からしたら、地下水であることを差し置いても些細なものでしかなく、呼び水さえできてしまえば、落差さえあれば、そこから水が湧き出ます。
動物の痕跡から水を感じる
飼育環境下では、ブタは体重の7%~10%の水を毎日飲みます。イノシシもおよそ同じなので、イノシシの痕跡を見つけられたら、近くには水源がある可能性があります。当然、野生のイノシシがいる可能性も高いです。
これはシカや鳥も同じで、ある程度水がある場所に多く生息します。砂漠やサバンナ、アマゾンでもそうなので、これは一つのヒントになります。ただし、その分、水場には肉食獣(クマとか)もやってくるので危険度は高まりますが、木に残っている動物の爪痕、糞、足跡、においなどから生息している事がわかれば、その獣も、水源もそこそこ近くにいるはずです。
水際植物から水を感じる
植物の生態に詳しいと、そこに生えている植物の種類から水辺が近いかどうか判断できます。
- ハリエンジュ
- オニグルミ
- タチヤナギ
- カワヤナギ
- オオイヌタデ
- ミゾソバ
- ヨシ
- ガマ
- ワコモ
などの植物は山の中…というよりは谷付近の、流れが遅く、浅く、少し淀んだ水辺の近くに生えていることが多く、植物の見た目だけでも知っていれば水場があるかどうか、山の中腹などから予測できる可能性があります。当然、この水場は淀んだ水なので人が飲むには適さないですが、水源を探すきっかけにはできます。