防災訓練「閉所生活訓練」の内容と実施方法

この閉所生活訓練では、ある程度動き回れる特定の空間に閉じ込められたことを想定して、精神、身体、判断力を通常の状態に維持しながら生命維持し、自身の弱い所、現実に起こりうることを事前に把握するのが目的です。何の訓練もなく、閉所に閉じ込められると発狂する人もいますので、どんな訓練でも舐めてかかってはいけません。

 

防災訓練「閉所生活訓練」の内容

閉所生活が想定しているのは

  • 発災時に家の外に出られなくなった
  • 発災時に部屋から出られなくなった
  • 発災時にがれきに閉じ込められた

ケースです。閉所とは言え、かろうじて身動きが取れる、または、4畳半や6畳の部屋の中に幽閉されているような状態を想定して訓練を行います。

 

主な目的は

  • 閉所で暮らすためのノウハウの習得
  • 閉所生活に伴うストレス度合いの把握
  • 閉所生活に伴う健康状態悪化具合の把握
  • 閉所生活後の回復に必要な事象の把握

です。既に引きこもりを経験している人は、トイレと食事さえなんとかなれば生活維持はできてしまうかと思いますが、一般的には閉所にて長く生活することに慣れていません。完全に閉じた空間で、何が起こり、自分がどうなるのかを事前に把握するのがこの訓練の大切なポイントです。

 

実施方法

この訓練では、まずは期間を想定してください。いきなり1週間閉所生活を行うようなやり方は避けましょう。また、一般の会社に出向いて働くサラリーマンなどはこの訓練を実施できません。

 

【訓練事例1】

想定時間:24時間

※食事を事前に用意しておき、トイレも自由に行ける状態にする。ただし、ネット回線は使えず、電気も使えないものとし、ガス、水道も止まっているものとして24時間生命維持をする。

 

【訓練事例2】

想定期間:3日

※防災バッグにある食糧と簡易トイレ、その他の物資のみを使用可能とし、それ以外は一切使用不可の状態とする。

 

【訓練事例3】

想定期間:7日

※防災バッグにある食糧と簡易トイレ、その他の物資のみを使用可能とし、それ以外は一切使用不可の状態とするが、3日経過後、スマホを使用可能とする。


このように、まずは24時間、次は3日間、7日間と難易度を上げていきつつ、物資やトイレ状況をより難易度が高い状態にしていき、少しでも厳しい状況に耐えられるようにします。実際に災害が発生した場合で、がれきに埋もれている場合は、防災バッグにたどり着くまでに時間がかかることも多いです。

 

また、巨大地震に被災した場合には、ほこり、不快害虫、ガス漏れ、漏水などと戦うことになるため、この閉所生活訓練はまだまだ甘いものであることを理解した上で対応する必要があります。

 

注意点

訓練中、実際に被災する可能性を想定して、物資は十分に余裕を持たせておいてください。また、限界を感じた場合は、即訓練を中止し、通常の生活に戻ってください。

 

訓練中に起こる全ての事象を記録し、メモに残してください。

  • 感情の変化
  • 健康状態
  • 天候と日付
  • 物資の残り具合
  • 必要だと思ったもの

これら全て、可能な限り記録しておくと、実際の被災に備えられます。

 

おそらく暇な時間をどう過ごすか、やることがなくなった時の謎の判断と行動をどう制御するかといった点で大きな学びがあると思います。


現代では、被災してもネット、電気、水道、ガスのいずれかは使用可能である場合が多く、被災地域には自衛隊や地域の防災組織が働きかける可能性も高いです。基本3日耐えられれば生存可能なはずです。実際の深刻な被災で、精神状態と身体を健康に保てるように、自身のどこが弱いのか知るために訓練をしてください。

 

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Posted by 防災士